マスデバリアとクールオーキッドの栽培

① まずはしっかりした根を張らせましょう。根張りには、初春から梅雨、秋から晩秋、初冬から冬と3回好機がありますが、栽培環境による生育適期に合わせて植え替えを済ませておけば、ある程度の暑さにも耐える根張りの良い株になります。

② 植え込み材料と鉢については、プラ鉢とミックスコンポストとバーク植えでは、コクシネア・ビーチアナ等の大型で根の太いものであればよいのですが、小型で根の細い原種等では、すでに多量の根張りがあり、栽培環境が一年を通じて良好である場合を除いてお薦めできません。

その理由は、通風のために風を人工的にも作っているはずですが、上記の植え方では株元を完全に安定できず、葉が風に揺れることにより、せっかくの新根の先をむやみに刺激してしまい発根を止めてしまうからです。また、根張りの良くない株の日常の手入れや出品時の移動で、その都度、株に対して大きな負担をしいることになるからです。

③ 一年を通じて昼暑すぎず、夜涼しくあれば、昼は鉢内が少し乾き、夜から朝は新鮮な水分で濡れているのがベストなのですが、現実的には困難です。私のところでは品種により、素焼き・透明のプラ鉢・水苔・水苔と細かい樹皮とを使い分けています。

④ 通年、毎日手入れのできる方とたまにしか手入れのできない方とではおのずと植え方も同じにはできません。まして、世界中の性格の違う蘭たちが一同に会し、押し込まれた温室ではなおさらです。クール種の栽培で大切な時期は晴天の日の昼の高温・熱帯夜・梅雨の長雨です。

それを乗り切る為に各品種ごとにトレーに針金を取り付け移動できるようにしておくと便利です。

トレーを作り品種ごとに入れる

晴天の昼の高温時は木陰につるし、梅雨の長雨時は軒下に雨除けし、熱帯夜はクーラーをつけた部屋で一緒に寝ましょう。

夏の高温対策では、体感温度が快適な木陰を確保するか、湿度を工夫してクーラーをつけたままにするか、いっそ台所の床下収納に非難させるかして夏の暑さに気をくばらなければクール種は短命を余儀なくされてしまうのです。ちなみに、夏の期間だけ小さな部屋でクーラーをつけたままで設定を20℃に保ち、薄暗くても湿度をやや高くしても費用は何万円にはならないと思います。秋に全部落葉してしまうよりは安く済むでしょう。

夏の暑い時は外の木陰につるす

桜の木の下に棚を作りつるしています。
(温室内28℃でも外は20℃~23℃で自然の風が涼しい)